大学入試:諦めないで。一般が知らない大卒資格の重要さ
前記事のZくんは、大卒の学歴にこだわって、高専生でありながら一般入試にチャレンジする道を選びました。
(前回記事:「大学編入:成績が底辺だけど大学進学したい Zくんの決断」)
「偏差値の低い大学では、行っても意味がない」
「高い学費払って回り道をして、就職先は高専以下かもしれないじゃないか」
Zくんの決断について、こう思われる方も多いかもしれません。
確かに一生日本にいる人生ならば、そのとおりだと私も思います。
しかし長い将来と今後の可能性を考えると、「大卒」にこだわることは、間違っているともいえないです。
海外ではバイト程度の仕事でも大卒か否か問われる
一般的に、偏差値が高くない大学を出た後の就職先は、高卒、高専卒の場合とあまり変わりませんね。場合によっては、後者のほうがよかったりします。
「Fランク大学に行くのは無意味」などといわれる根拠でもあります。
しかし海外になると話は違います。
英語での採用場面だと、私たち外国人はちょっとしたネット上の仕事に応募する時でさえ、大卒か否かを尋ねられる場合があります。
ごく短期の、一時的な仕事でさえです。
就労ビザや永住ビザの取得も「大卒」を条件としている国があります。せっかく海外の就職口がみつかったのに、大卒でなかったため就労ビザがとれず諦めるといった例は、海外通の間ではよく知られていることです。
なぜ海外は「大卒」にこだわるのか
一定以上の環境で育った人である証だから
近年、格差社会になったといわれる日本。しかし世界的にみれば、まだゆるやかな方です。
海外は日本より格差が激しい国がほとんどです。たとえ欧米先進国であってもそうです。
一般的に、こうした国々において「大卒」は格差の真ん中~上にいる人がもつ資格です。
ゆえに大卒であるというだけで「一定以上の環境で育った人」=「非常識なビジネスをしなそうな人」だと認めてもらえます。
誰でも大卒になれるわけではないから
大学全入時代といわれるように、日本では大学進学が簡単です。偏差値40台前半の高校でも、希望すれば多くの人が大学進学できます。
しかし、こうした国は世界に多くありません。
ドイツでは基本的に、小学生のときの成績で大学進学できるか決まってしまいます。そのため全体の4割程度しか大学進学を許されません。
※外部リンク ドイツ「10歳で進路が決まる学校システム」
https://www.travelprofessor.com/europe/germany/7001/
中国では「高考」という全国統一試験があり、この成績順に進学できる大学が決定します。
これに漏れた学生は大学進学を諦めるか、浪人するか、日本など外国の大学を目指すしかありません。中国の大学進学率もまた4割程度です。
アメリカでは2年制の短大まで合わせた大学進学率は50%を越えているものの、4年制の大卒以上の学歴を持つ人は、全体の35%程度しかいません。
実は日本は、学歴を得るという点では、とても恵まれた国なのです。
大卒資格はとったもの勝ち
このように、海外では大学進学に高い基準をもうけてる分、レベルの低い大学というものを、あまり想定していません。
人材募集でも、大卒か否か、また専門程度は問われますが、それ以上のことはあまり聞いてきません。
日本人が海外の大学に詳しくないように、あちらも日本の大学のレベルはよくわからない場合が多いのです。
なので東大だろうが、Fランク大だろうが、同じ「大卒」扱いです。
偏差値が高くない大学が、グローバル教育を掲げることが多いのは、実は理にかなったことなのです。
放送大学でも大卒になれる!
「そうはいっても、もう卒業して就職してしまった」
「事情があって、就職の道しかない」
という場合もあるでしょう。
しかし「教育に恵まれた」日本で、大卒の資格を得ることは簡単です。
世界で重視されるのは大卒資格(Bachelor’s Degree)そのものなので、放送大学を卒業しても立派な大卒です。
他にも学位をくれる通信制大学は多いですね。
もちろん、専攻科を卒業しても、大卒と同じ学位が得られます。
もし海外を視野に入れているなら、どんな方法であれ、大卒の学位はもっていて損はないでしょう。
https://en.wikipedia.org/wiki/Educational_attainment_in_the_United_States
https://www.scbri.jp/HTMLcolumnNY/16-14.pdf